妊娠・出産を知ることから、はじめよう

不安を増やすためではなく、必要なときに質問や相談ができるように。妊娠する人も、その周囲で支える人も、自分のペースで一緒に学べるページです。

このページは、医療者と話すための基礎知識をまとめたものです。専門家による本ページの監修は未実施です。一般的な説明だけで、ご自身の状態や適切な治療を判断することはできません。個別の対応は、かかりつけの医師・助産師に相談してください。

01 健診は、体調と疑問を一緒に確認する時間

妊婦健診では、妊娠しているご本人と赤ちゃんの状態を定期的に確かめます。血圧・尿・血液の検査や超音波など、週数や状態に応じて内容が変わります。体調がよい日も、医療機関から案内された間隔で受診しましょう。

一般的な受診間隔の目安は、妊娠23週までは4週間に1回、24〜35週は2週間に1回、36週以降は1週間に1回です。これは一律の予定表ではありません。初期の確認や合併症の管理などで、より短い間隔の受診が必要なこともあります。

参考:こども家庭庁|妊娠・出産

準備 01手帳と相談先を用意

妊娠の届出や母子健康手帳、健診の助成について、市区町村へ確認します。困りごとも窓口で話して大丈夫です。

準備 02健診で使うメモ

気になる変化、飲んでいる薬、質問を書き出します。診察の最後に「次はいつ、どんなときに連絡するか」を確認しましょう。

準備 03分娩先へ早めに確認

予約時期・紹介状・里帰りの受入条件は施設ごとに異なります。健診を受けている施設で分娩できるかも確認します。

検査を勧められたら、「何を調べるか」「分かること・分からないこと」「結果に応じて何を考えるか」を聞いてみましょう。出生前検査についても、受ける・受けないを含め、十分に説明を受けて考えることが大切です。

参考:こども家庭庁|妊娠中の検査に関する情報サイト / こども家庭庁|すこやかな妊娠と出産のために(PDF)

02 毎日のことは、無理なく相談しながら

食事と体重
特定の食品だけに偏らず、体重の増え方は妊娠前の体格や経過に合わせて医療者と確認します。生ものなどの食中毒対策として、洗浄・十分な加熱・適切な保存を心がけましょう。つわりで食事や水分がとれないときは、我慢を続けず産科へ相談してください。

葉酸やサプリメント
妊娠を計画する時期から妊娠初期は、食事に加えて葉酸を補うことが勧められています。製品を重ねて使う前に、成分や量を医師・薬剤師へ確認しましょう。多く飲めばよいというものではありません。

参考:こども家庭庁|妊娠中と産後の食事(PDF) / こども家庭庁|妊娠・出産

薬は、自分だけで中止・変更しない。処方薬、市販薬、漢方、サプリメントを使っていることを医師・薬剤師に伝えてください。妊娠に気づく前の服用が心配な場合も、薬の名前と使った時期を控えて相談できます。国立成育医療研究センター「妊娠と薬情報センター」にも相談の案内があります。

参考:厚生労働省|妊娠と薬

休み方・働き方・運動の程度は、体調と妊娠経過に合わせて相談しましょう。「安定期だから何をしても大丈夫」と一律には考えません。禁酒・禁煙に取り組み、周囲の人も受動喫煙を避けられる環境づくりに協力してください。

参考:こども家庭庁|すこやかな妊娠と出産のために(PDF)

03 気になる変化は、健診の間でも連絡を

次のような変化があるときは、産科へすぐに連絡し、受診が必要か指示を受けてください。症状がそろうまで待つ必要はありません。ここにない変化でも、いつもと違って心配なときは相談してください。

  • 妊娠中の出血、強い・続く腹痛やおなかの張り
  • 破水を疑う水分が出る — 尿もれやおりものとの区別がつかなくても連絡を。
  • 普段感じている胎動が、いつもより明らかに少ない・感じられない
  • 強い頭痛が続く、目がちかちかするなどの変化
  • つわりなどで水分や食事がとれない、強い体調不良がある

参考:こども家庭庁|すこやかな妊娠と出産のために(PDF) / こども家庭庁|妊娠・出産

意識がない、けいれん、強い息苦しさ、大量出血など、生命に関わる緊急時は119番へ。
ご本人が電話できないときは、そばにいる人が連絡してください。このサイトのフォームでは緊急対応ができません。

電話では「妊娠何週か/産後何日か」「いつから、どんな変化があるか」「出血・痛み・破水感・胎動の様子」「現在いる場所」「かかりつけ」を、分かる範囲で伝えます。すべて整理してからでなくて大丈夫です。

受診や救急車を呼ぶか迷い、相談先が分からないときは、かながわ救急相談センター(#7119、24時間365日)の案内も利用できます。明らかな緊急時は119番を優先してください。

04 出産方法を知って、希望を伝える

出産方法は、ご本人の希望と、母体・赤ちゃんの状態を確認しながら考えます。経過によって当初の予定が変わることもあります。方法が変わっても、ご本人の努力や出産の価値が変わるわけではありません。

経腟分娩

赤ちゃんが産道を通って生まれる方法です。お産の進み方や赤ちゃんの状態によって、医療的な処置や帝王切開が必要になることもあります。

帝王切開

手術で赤ちゃんを出産する方法です。あらかじめ予定する場合と、経過中に緊急で行う場合があります。必要な理由、麻酔、術後の痛みや回復について確認しましょう。

無痛分娩

麻酔などでお産の痛みを和らげる方法です。痛みの軽減という利点と、副作用・合併症、対応できる条件の説明を受けて検討します。

参考:日本産科麻酔学会|帝王切開の麻酔Q&A / 日本産科麻酔学会|無痛分娩Q&A

無痛分娩を希望する場合は、「誰が麻酔を担当するか」「夜間・休日も対応するか」「予定より早く陣痛や破水が起きたときはどうするか」「急変時の対応」「追加費用」を確認しましょう。無痛分娩の実施時間と、緊急帝王切開の対応体制は別に尋ねてください。

バースプランは、希望や不安を共有するためのメモです。「痛みが怖い」「処置の前に説明してほしい」「付き添いについて知りたい」など、短い言葉でも構いません。実現できる範囲と、変更が必要な場合の説明方法を話し合いましょう。

05 医療体制は、お母さんと赤ちゃんの両方を見る

「周産期」は妊娠後期から出産前後にかけての時期を指します。神奈川県では病院・診療所・助産所などが役割を分担し、必要に応じて紹介や搬送でつながっています。施設の名称だけで、自分に合うかどうかは決められません。

県の「基幹・中核・協力」は救急医療システムでの区分です。「総合・地域周産期母子医療センター」という指定とは別で、どちらも安全性のランキングではありません。夜間の診療、手術・麻酔・輸血、新生児の治療、搬送先との連携を具体的に確認します。

参考:神奈川県|周産期医療体制について

NICU:新生児集中治療室
専門的な治療や管理が必要な新生児のための病室です。母体の集中治療を担う設備とは役割が異なります。

「ある」「0床」「未確認」は、それぞれ違う情報です。
病床数が掲載されていても、空床や現在の受入を保証しません。0床の掲載は新生児診療や搬送すべてが非対応という意味ではなく、「未確認」も設備がないという判定ではありません。掲載情報の読み方を詳しく見る

「今の状態に合う診療を受けるために転院する」という選択もあります。母体搬送は妊娠している方などの搬送、新生児搬送は生まれた赤ちゃんの搬送です。必要性や搬送先は医療者が状態と受入体制を踏まえて調整します。自分で受入施設を探し続けず、まずかかりつけへ連絡してください。

06 健診で聞く言葉を、少しずつ

言葉を押すと説明と質問例が開きます。自分で病名を当てはめるための一覧ではありません。診断を受けたら、ご自身の状態や必要な対応を医療者に確認しましょう。

妊娠高血圧症候群

妊娠に関連して血圧が高くなる病気のグループです。母体や赤ちゃんの状態を確認しながら管理します。重症化した際の病態として子癇やHELLP症候群などの言葉を聞くこともありますが、症状だけで自己判断はできません。

健診で聞くなら
「家庭での血圧測定は必要ですか。どんな変化があれば連絡しますか?」

参考:こども家庭庁|妊娠・出産

妊娠糖尿病

妊娠中に見つかる血糖の異常です。妊娠前からの糖尿病とは区別して評価され、食事や血糖の管理などが必要になることがあります。尿糖の結果だけで判断せず、検査の意味と今後の方針を確認しましょう。

健診で聞くなら
「食事や測定について、私にはどんな管理が必要ですか。産後の検査も必要ですか?」

参考:こども家庭庁|妊娠・出産

切迫早産・前期破水

切迫早産は、予定より早い時期に出産となる可能性がある状態です。前期破水は、陣痛が始まる前に破水することをいいます。名前が似ていても同じ状態ではなく、週数や感染の有無などで対応が変わります。

健診で聞くなら
「今の週数では、どこでどのような管理や新生児の診療が必要ですか?」

参考:こども家庭庁|すこやかな妊娠と出産のために(PDF)

前置胎盤

胎盤が子宮の出口を覆う位置にある状態です。出血に備えた管理や、出産方法を検討します。胎盤の位置を指摘された場合は、次に確認する時期と出血時の連絡先を聞きましょう。

健診で聞くなら
「今の胎盤の位置はどうですか。出血したら、いつ・どこへ連絡しますか?」

参考:こども家庭庁|すこやかな妊娠と出産のために(PDF)

常位胎盤早期剥離(じょういたいばんそうきはくり)

赤ちゃんが生まれる前に、胎盤が子宮の壁からはがれる状態です。母体と赤ちゃんの両方に急な対応が必要になることがあります。出血量や痛みの有無だけで安全とは判断できません。

健診で聞くなら
「続く腹痛や出血、胎動の変化があるときの連絡方法を教えてください」

参考:国立成育医療研究センター|常位胎盤早期剥離について

赤ちゃんの発育や状態・多胎妊娠

赤ちゃんの育ち方や健康状態、双子などの妊娠では、追加の検査や専門診療を案内されることがあります。「小さい」「経過を見る」という説明だけで結論を急がず、何を確認中なのかを尋ねましょう。

健診で聞くなら
「何が分かっていて、何を経過観察していますか。出生後に必要な診療はありますか?」

参考:国立成育医療研究センター|産科

産科大量出血(分娩時・産後の多い出血)

出産の前後には出血への備えが必要です。出血が多い場合、原因に応じて止血の処置、輸液・輸血、手術や高次施設への搬送など、複数の部門が連携して対応することがあります。出血量だけで重症度を自己判断せず、体調の変化や医療者の説明を確認しましょう。

産院選びで聞くなら
「大量出血が起きたとき、輸血の準備や麻酔科・高次施設との連携はどのようになっていますか?」

参考:日本産婦人科医会|産科異常出血への対応(医療従事者向け資料。運営側による一般向け要約です)

緊急帝王切開と麻酔の体制

妊娠中やお産の経過によって、予定していなかった帝王切開が必要になることがあります。緊急性や母体・赤ちゃんの状態、麻酔の方法は状況により異なり、医療者が判断します。無痛分娩の実施時間帯と、緊急帝王切開への対応体制は別の確認項目です。

産院選びで聞くなら
「夜間や休日に緊急帝王切開が必要になった場合、どのような連絡・手術・麻酔体制になりますか?」

参考:日本産科麻酔学会|帝王切開の麻酔Q&A

持病がある妊娠

心臓・腎臓の病気、糖尿病などの持病や、継続している治療があるときは、産科と普段の主治医の両方へ妊娠を伝えましょう。必要な診療科の連携と、薬の扱いを一緒に確認します。

健診で聞くなら
「出産前後の治療は誰と相談しますか。産科と主治医の情報共有はどう行いますか?」

参考:厚生労働省|妊娠と薬

07 産後も、ご本人のケアを大切に

退院は、体の回復がすべて終わったという意味ではありません。健診や授乳の相談、休息、家事の支援を、出産前から準備しておきましょう。退院時には、ご本人と赤ちゃんそれぞれの相談先・夜間の連絡先を確認してください。

出血が急に増える、発熱や強い痛み、息苦しさなど、産後の体調が心配なときも医療機関へ連絡してください。大量出血や意識・呼吸の異常などの緊急時は119番へ。

気持ちの落ち込みや不安、眠れなさ、育児のつらさも相談してよいことです。つらさが強い、生活に支障があるときは、一定の日数が過ぎるまで待たず医師・助産師・保健師へ。ご本人や赤ちゃんの安全が今すぐ心配なときは、ひとりにならず身近な人と医療機関に助けを求めてください。

参考:こども家庭庁|妊娠・出産

産後ケア事業は、出産後の心身のケアや育児を支える公的な仕組みです。宿泊・日帰り・訪問などの提供状況や、対象、料金、申込み方法は市区町村へ確認しましょう。こども家庭庁|産後ケア事業を利用したい方に概要があります。

08 パートナーや家族が、一緒にできること

  • ご本人の希望を聞く。何が不安か、何を手伝ってほしいか、答えを急がず聞きます。
  • 連絡と移動を準備する。かかりつけ・夜間の番号、入院時の移動方法、必要な荷物の場所を共有します。
  • 健診の説明を一緒に整理する。ご本人が希望すれば同席やメモを手伝い、不明点を次の質問につなげます。
  • 産後の生活を具体的に分担する。食事、洗濯、上の子の世話、夜間の対応などを誰が担うか話し合います。
  • 支える側も相談する。ふたりだけで抱え込まず、家族や地域の支援を利用します。

一緒に支える人は、パートナーに限りません。家族、友人、医療者、自治体の窓口など、ご本人が頼りたい相手と準備を進めてください。

09 費用は「含まれるもの」と支援を確認

施設の費用例を見るときは、分娩方法、入院日数、個室、無痛分娩、夜間・休日、追加の処置など、何が含まれるかを確認しましょう。比較ページの金額は掲載時点の情報で、個別の見積もりではありません。

妊婦健診の助成、妊婦のための支援給付、出産に関する医療保険の給付など、相談できる制度があります。対象や申請時期は市区町村・加入している医療保険・医療機関へ確認してください。費用が心配で受診を迷うときも、早めに自治体や医療機関の相談窓口へ話してみましょう。

参考:こども家庭庁|妊婦等包括相談支援事業・妊婦のための支援給付 / こども家庭庁|母子健康手帳情報支援サイト(主な医療給付等の制度)

10 そのまま使える、健診・産院選びの質問メモ

気になるものを選んで、手帳やスマートフォンのメモへ。全部聞こうとせず、今日いちばん気になることからで大丈夫です。

  • 「今の私と赤ちゃんの状態で、特に気をつけることは何ですか?」
  • 「この検査の目的と、結果によって変わることを教えてください」
  • 「私が希望する出産方法には、どんな条件や選択肢がありますか?」
  • 「夜間・休日の緊急手術、麻酔、輸血は、どのような体制ですか?」
  • 「赤ちゃんに治療が必要な場合は、院内で対応しますか、搬送しますか?」
  • 「私の妊娠経過に、この施設の体制は合っていますか?」
  • 「退院後、体調や授乳、気持ちのつらさをどこへ相談できますか?」
  • 「次の健診を待たず連絡するのは、どんなときですか?」

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